新宿は豪雨|乳がんのリアルタイム記録

38歳•独身•ひとり暮らし、非浸潤性乳管がん。乳がん初心者の右往左往の記録。

やっぱりがんでした【告知】

2021/10/3(日)
 
病院に病理検査の結果を聞きに行く。
待合室で、呼ばれるまでの15分が長い。
ずっと心臓がドクドクしてる。
 
いざ診察室へ。
「やっぱり非浸潤がんですね」
「わーお!」
 
がんを告知された瞬間って皆さんどんな反応をされるんでしょうか。
わたしの場合、自然に出てきた言葉は「わーお」だった。
ある程度覚悟はしていたし、深刻なステージではないというのもあると思うけど。
良くも悪くも予想通りで何のサプライズもない結果。
「今までの全部うっそぴょーん! 良性だったよーん!」
ってなる確率もゼロではなかった以上、ほんの少しだけどこか期待していたのだけどね。 
 
検査報告書をチラリと見せてもらう。
そこには
"ductal carcinoma in situ"
の文字。
わかんねーよ!
 
「これは非浸潤がんということですか」
「そうです」
 
略してDCISと言うらしい。
わーお!
わたしマジでがんなんだ!
落胆より「早く見つかってよかった」という安心感。
 
何度も検査を受けるうちにある程度覚悟をきめる時間があったから急にびっくりってことはあんまりない。
どっちかって言うと気楽な気持ちで受けた健康診断のときに「気になる所見が…」って思いがけず言われた瞬間が一番ビビったかも。
 
とりあえず手術は確定である。
人生初手術、人生初全身麻酔
ドキドキ。
 
わたしの場合、左胸の上部に横長にそこそこでかく広がっているらしい。
医者が言うには部分摘出で温存できるだろうと。
「跡が残らないようにメスを入れて」
「跡が残らないようにできるんですか!?」
「術後はよく見ないと変形が分からないくらいの感じでできると思います」
「えっ!? 結構でかいんですよね? それプラス余分に取り除くんですよね? 分からないくらいなんて可能なんですか??」
「あなたの場合は高さがあまりないから」
「ははぁ」
 
MRIの写真を見てみると、素人目にはかなり広がっているように見える。
これだけ取り除いて分からないくらいで済むんだろうか?
「できるだけ表面を…脂肪で…」
などと説明してくれている。
「『あんまり変形しない』と言っても『あんまり』の程度は個人差がありますよね。自分の許容できる範囲ならいいですが、過去の類似症例の写真とかないですか」
「ない」
えー。
「本当にまったく変形しないというのは不可能」
「ですよね」
「でもよく見ないと分からないくらいにはできると思う」
と同じことを繰り返される。
いやほんと、よく見ないと分からないくらいにできるならめちゃくちゃありがたいですけど、
仕上がりがだいたいどんな感じかビジュアルで確認したいじゃないですか。
でもそれを確認できないとなると、一種のバクチでは??
 
放射線もできればかけたくないし」
「えっ、温存だと再発リスクが高くなりますよね!?」
「そうですね」
放射線いらないんですか?」
「かもしれない。手術の結果次第で」
 
わたしが調べたところでは温存と放射線はセットだと思っていた。
1ヶ月平日毎日通わないといけないという放射線、もし免れるなら幸いである。
 
あとは手術できるかどうかの確認のための採血をする。
放射線受けるとしたらここで受けられますか?」
「いや、大きな病院に行ってもらわないと。朝受けてそのまま出社も可能ですから。会社はどのあたり?」
「○○です」
「あのあたりは病院がないな…」
「家の近くとかこの病院の近くの方がいいです」
「だったらいっぱいある」
 
みたいな感じで今日は終了。
病理検査代が今日かかると思って多めにお金を用意してたけど、なんと1,620円。
後で前回の明細を確認すると、どうやら前回の費用に病理検査費が含まれていたらしい。
えー、病理検査って5,000円くらいでできるんだな。
精密検査から告知までかかった金額は合計で20,000円くらい(診察+エコー+MRI+針生検)。
20,000円で癌が分かるなら安いものだ…。
 
受付にて
「次回の予約ですが、次は手術になります」
「え!?」
いや確かに手術の説明は受けたけど、わたし「受けます」って言ってないし…。
さっき告知されたばかりで心の準備もできてないし!
「ちょっと待ってください!」
 
「まだ心の準備ができてない」
「手術の費用は」
セカンドオピニオンを受けたい場合は」
「保険金請求のための診断書はどうすれば」
という質問を矢継ぎ早に受付の人にぶつけまくる。
当然待合室にいる人たちには丸聞こえだろう。
でも疑問を心にしまったまま帰るわけにもいかない。
 
とりあえずは「今後どうするか一度検討してみます」ということにして手術の予約はせず。
 
医者と受付の人に聞いた話をまとめると、
「部分摘出、変形はよく見ないと分からない程度で済むだろう」
「手術は平日の夕方、全身麻酔で、日帰り、翌日から動ける(マジか)」
「手術費用は15-20万円くらい(高額医療費の申請をしておくとよい)」
放射線は受けなくてもよい可能性がある」
 
いいじゃない。
特に不満はない。
不満はないが、不安がある。
 
というのも、医者に言われた次の言葉。
「他のところだったら全摘と言われてもおかしくない」
「再建は思っているほどきれいにはできない」
 
この先生もちゃんとした乳腺医学会の認定医だけれど、
乳がんの手術は選択肢がたくさんあるはず。
それを選択肢が1本の状態で即決してしまっていいものか?
いやもちろん全摘再建より温存で済むならそれが良い。
でもどんな仕上がりか分からないのに受けるのは…。
 
なまじ乳がん関連の本を読みまくったせいで、「セカンドオピニオン」は取った方がよいという気がしていた。
そんなわけで「一度検討してみます」と言って持ち帰ったわけである。
 
病院を出てすぐ、近くの公園で家族に報告。
泣くこともなく、どちらかと言うと明るく報告できた。
「初期で良かったね、いや良くないけど」
「うん、良かったわ、いや良くないけど」
みたいな。
今日はめちゃくちゃ良い天気だなぁ。
青空が眩しいぜ。
 
家に帰ってから、もらった病理組織検査報告書をちゃんと見てみる。
 
組織所見が外国語混じりの日本語の文章で書いてあるのだが、素人には全然わかんねーよ!
「solidに増殖」
「adonosisの上皮を置換」
ちんぷんかんぷんである。
 
自分の正式な病名はおろか、サブタイプすらも分からない。
ただ医者は「ホルモンに強く反応している」と言っていたから、
ルミナルAかBなんじゃないかと思う。
HER2はよく分からん。
見る限り、そのような項目はどこにもない。
患者に渡す報告書は簡易版なのかしらん。
 
あと報告書のなかに
「核grade = 2(3+1)」
あれ、核グレードが2って微妙じゃね?
てか(3+1)って何?
3てやばくね?
 
わたしの場合、手術で取ってしまえばそれで終わりになる可能性があるので、
その後の療法に関連するサブタイプはあまり考えなくてもいいのかもしれない。
 
なんにしても、十分に納得しているとは言い難い状態である。
納得せずに手術を受けるわけにはいかない。
 
と思いつつ
告知日ということで、実は心の奥底で深いダメージを受けているかもしれないので、とりあえずこの日は何も考えずに寝た。
 
◆今日かかったお金
診察 1,620円